IT時代のクルマのために

チーフサイエンティスト
齊藤 忠夫
東京大学名誉教授

 人類は過去にも現在も多くの制約の中で技術を発展させ、社会を進歩させてきました。最近では多くの技術はIT(情報通信技術)の急速な発展に支えられて変革し、制約を克服しています。

 近年エネルギー問題、人口の高齢化など多くの制約的問題が世界的に顕在化し、これらの制約を乗り越えて交通システムをはじめとする21世紀の技術を構築することが世界共通の課題になっています。エネルギー効率良く、安全な21世紀の移動スタイルを定着するためにもITへの期待は高まっています。

 20世紀の終わりから現在にかけて、ITの進展により、生活のスタイルも仕事のスタイルも大きな変化を見せています。家でも仕事でもITに取り囲まれ、ネットワークを通して様々な情報が提供され、われわれの生活を豊かにしています。

 IT時代のクルマを安全、快適にし、円滑な交通を実現するために、クルマをネットワークに接続しクルマの環境にふさわしい形で情報を提供することが求められています。このためにはソフトウェアを高信頼で構築すること、オープンネットワークの情報の安全性を確保する技術も重要な課題です。情報技術、移動通信ネットワーク技術はITの進歩とともに幅広い業界・学界によって進められていますが、こうした主体と協力し全体の技術を豊かにするオープンイノベーションがIT時代のクルマを実現するキーであると考えています。

 トヨタIT開発センターは、21世紀のIT時代にふさわしいクルマを実現するキーとなる技術を幅広い協力の下に進展させることを目指しています。多くの技術が開発され、社会をより豊かなものにするよう皆様のご理解とご支援をお願いする次第です。